2023.04.19
- 歯とお口のセルフケア
- 治療と予防歯科
- 院長ブログ
キシリトールガムで歯を健康に
こんにちは、cocoroはなふさ歯科医院 院長の瀧口です!
虫歯予防にキシリトールが良いという話は、
みなさんどこかで聞いたことがありますよね?
本日はそれについて、少し詳しくお話しします。
そもそもキシリトールとは、
自然界に存在する糖アルコールの一種で、
白樺などの樹木から採取でき、
砂糖の代替甘味料です。
1970年代からフィンランドで研究が始まり、
その後WHOが安全性を認め、日本では1997年に
厚生労働省が食品添加物として認可しました。
それ以降、キシリトール入りの
一般食品の販売が開始されたようです。
キシリトールは、口腔内細菌によって
虫歯の原因となる酸を作り出さない糖なので、
虫歯になりにくく菌を減らして進行を遅らせます。
虫歯になる菌の中でも有名な細菌の一つである
ミュータンス菌の活動を、
甘味料の中で唯一弱められる性質があります。
また、キシリトールガムには
歯の再石灰化を増強する作用もあります。
食事をすると、酸のダメージで歯から一時的に
カルシウムなどの成分が抜け出てしまいます。
その後、口腔内が中性に戻ると、唾液の力により
抜けでた成分が歯に返されて、元に戻ります。
これを再石灰化といいます。
キシリトールガムには再石灰化を強化する成分が
キシリトールの他にも含まれているため、
食後に噛むことが推奨されています。
しかし、キシリトールは、
プラーク(歯に付着した細菌が繁殖した塊。歯垢。)中の
ミュータンス菌の増殖を防ぐ事はできるのですが、
虫歯の中のミュータンス菌の増殖を止めるわけではありません。
つまり、あくまでも予防歯科という観点から
キシリトールは有用なのであって、
虫歯治療に使えるわけではありません。
そして、キシリトールは
プラーク中のミュータンス菌を減らす作用がありますが、
口腔内の細菌構成を変えるわけではありません。
そのためキシリトールを使っていれば
虫歯を根絶できるというわけでもありません。
さらに、キシリトールを使っていても
他の糖類があればそれによって酸は産生されるため、
実際の食生活においてキシリトールを取り入れただけで
虫歯がなくなるということではないのです。
そのため、効果的な使い方を知った上で
適切に使うことが、予防においては重要となるのです。
・1日に、数回に分けて、食後30分以内に噛むといいでしょう。食後30分間は口内が酸性に傾いており、歯の表面が溶けやすくなっています。そこで食後にガムを噛むことで唾液も出てくるため、酸性に傾いたお口の中をすばやく中性に戻す働きがあります。
・歯垢が落としやすくなるには歯磨き前が、歯の質を強くするには歯磨き後が効果的です。効果的に摂るタイミングは、毎食後と就寝前です。
・よく噛んで唾液をたくさん出すことも、虫歯予防には大切です。味がしなくなっても5分間くらいは噛み続けるといいでしょう。
・キシリトール100%配合が理想。歯科医院専売であれば、キシリトールが100%配合されており、1粒に使用しているキシリトールの量も市販よりも多いため、虫歯予防の効果が高くなります。
・キシリトールは1日に過剰に取り過ぎるとお腹がゆるくなることがありますので、気を付けてください。妊娠中も通常の量であれば問題ありません。キシリトールガムを妊娠中から1日4回噛むことで、生まれてくる子どもへのミュータンス菌の感染確率が4分の1以下になるという研究結果もあります。つまりキシリトールは自分のむし歯予防だけでなく、生まれてくるお子さんのむし歯予防にも繋がります。
小さいお子さんは、ガムを飲み込んでしまう恐れがあるので、タブレットタイプもあります。
とは言え、大切な歯をむし歯から守るためには
日常の歯磨きや歯科医院での定期健診がとても大切です。
しっかり歯磨きをしたうえで
「キシリトールガムに口内環境の維持をサポートしてもらう」
という意識でいましょう。